成長事例

セラピー日記

2023/10/11

母子分離が難しい 2才 男の子

母子分離が難しく、お母さんが離れると泣き続けるため、保育園に預けたり、そこから集団生活へ移行していくことが難しくなってしまうのではないかというご相談でした。

言葉の成長もまだゆっくりだったため、先生とのやり取りの中で落ち着いていくということもまだ少し難しそうな印象がありました。

まだ2才だったこともあり、療育の中で行っていく課題を急ぐ段階ではなかったため、はじめに

・教室で先生と遊びをしながら過ごすこと。
・遊びをする中で要求を先生に伝えられるようになること。
・着席して過ごす時間を作ること。

この3つを初期の目標としました。

お子様の事を知ること。そして先生を知ってもらうこと。

先生は初めにその子がどのような遊びが好きかを知る必要がありました。教室に来てすぐにお母さんが離れると、やはり泣いてしまいましたが、しばらくすると少し落ち着いておもちゃを触る様子がありました。ただ、しっかり落ち着いている状態ではないため、遊びがなかなか続かない様子もありました。

しかし、その中でも物を触って操作したり、いくつかのものに注目して、触ったことのないものでも触れてみるという様子が見られました。また、型はめパズルなど、机上で遊べそうなものにも興味があることがわかりました。

大人のレールに乗せるのではなく、その子が進める道筋を作っていくこと。

・物に注目して観察できる。
・関心の幅は広いとは言えなくても、いくつかの選択肢がある。
・短時間だけれど、集中できる。

という様子が見られましたので、彼が何回か触れた型はめパズル、動きを楽しむおもちゃ、それとだるまさんの絵本をピックアップしました。

先生がお子様の様子を見ながら、遊びに加わろうとしますが、あまり時間が経たないうちにお子様はまた泣き出しそうになってしまいます。

しかし、泣いてしまう前に先生がおもちゃを使って、違う遊び方を見せていくことで、「泣く⇒落ち着く」の波は少しずつ安定して、落ち着いている時間が少し長くなってきました。

泣いている間は少し落ち着くのを待ち、落ち着いてきたタイミングで絵本を読むようにしました。

絵本を読み始めると、落ち着いて絵本に見入っています。「おしまい」と一度終わりになりますが、「もう一回読もうか?」と聞くと、その場に座っていましたので、もう一度読みました。

だんだん落ち着いている時間の方が長くなっていきます。

さり気なく机を出して、絵本を机の上で読むようにし、椅子を出して座ることを促すと、自然に膝を折ってそこに座りました。

今度は絵本を読み終えたら、先程の型はめパズルを出して、一緒に遊びます。お子様は先生がもっているピースを取ろうとするので、渡してあげ、少し手伝いをしながら、ピースを落としていきます。

座って、落ち着いて遊んでいるので、「座って遊べていて偉いね。」と声をかけながら別の絵本を出して、読み聞かせの時間にします。

そのうち、立ち上がったため、制止はしませんでした。再び床で遊び始めましたので、動きのあるおもちゃを使って、遊び方をみせ、渡してあげます。自分なりのやり方で真似をして遊び始めました。

先程は床に座って遊んでいるときも泣き出しそうなときがありましたが、もう泣かないで遊んでいます。

少し室内を歩き回りながら別の玩具を眺めているので、ついていって、先生が遊び方を見せていきます。また元の場所に戻って型はめパズルなどを始めます。

もうすぐお迎えの時間になり、お母さんが来ました。お母さんのところに行き、そのまま送り出しかな、と思いましたが、お話している間、少し離れてみたり、また戻ってみたりということを繰り返しています。

その間先生はそばに座っていただけですが、その子は時々先生にも近づいて、目を合わせたり、近くに座ったり、先生の方を向いたまま少し遊んでいました。そのうちお話も終わり、さようならをしてその回を終えました。

一度経験したことは記憶になり、学びになっていきます

その後、その子は教室に来た時には前回の最後の方の様子と同じ様に、泣かないで過ごせるようになっていきました。

それからおよそ半年が経ちましたが、先生と一緒にリズムウォークを歩き、お友達と一緒に始まりの会に座って参加しています。

お母さんも安心して預けることができるようになり、療育はまだ継続していきます。 お子様は少しずつ教室やご家庭の中で成長していきますが、その背景には経験や学びという目に見えない、お子様自身の中にあるものが増えていっているように感じられます。

それは小さな一歩の積み重ねですが、この小さな一歩を作っていく初めのきっかけと、そのお手伝いをてらぴぁぽけっとの中で行っています。



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